夢を見過ぎといや…





「10代目、お邪魔しま…」


扉をあけて目に飛び込んできたものに動きを止めてしまった。

…………幻覚?


「あ、いらっしゃ〜い。」

「じゅ、10代目…それ、なんですか?」

「ん?骸に貰った。」


ひらひらと持っていたアイスを振って答える。

いえ、スイカバーの方ではなくて…


「その背中の…」

「ああ…雲雀さんがくれたんだよ。」

「…へ?」


床にうつ伏せに寝転がった10代目。

その背中で存在を主張する白い小さな翼。

………それを雲雀が?


「…………風紀委員には手先が器用な人間がいるんですね、きっと。」

「んんん。雲雀さんが作ったんだって。徹夜だって。」

「え。」

「あの人裁縫も得意だし。ほらそこのカピバラパジャマ作ったの雲雀さんだし。」

「へ!?」


ずっと既製品だとばかり…!なんつー隠し芸だ!!

今まで10代目は随分と可愛らしいご趣味をお持ちなんだなと思ってたんだが…

そうか…あれ脅されて着てたのか……………可愛いことに変わりないが。


「獄寺くん?何か用事あって来たんじゃないの?」


俺がパジャマを凝視して自分の思考に沈んでいるのを見て10代目が体を起こした。

どういう材質なのか10代目が動く度にぴょこぴょこと翼が羽ばたくように揺れる。

………雲雀め。いい仕事しやがる…


「いえ、今日はお母さまに少しお借りしたいものがあったんです。」

「何を?」

「次の昼の校内放送用の資料です。」

「ああ、今回は獄寺くんがやってくれるんだったね。よろしく。」

「はい!どうぞお任せを!」


ドンと胸を叩く。

勿論、10代目の右腕として最高の放送をしてみせる!

だがその為に資料VTRをお母さまにお借りしようとしたら


『その資料ならママンより他をあたった方がより良いブツが手に入るぞ』


とリボーンさんが…

何故かリストを渡されたんだがこれを一人一人あたればいいんだろうか…?


「あ、ごめん。ほら獄寺くん、座って座って。」

「いえっ、ご挨拶だけでもと…」

「スイカバーあげるから。」

「…はい」


勧められるがままに座ってアイスにかじりつく。

目は自然、新しいアイスにご機嫌でかぶりつく10代目の背に…

また動いてる。あの羽根、気になって仕方ない…


「そだ。折角だから獄寺くんにもバトンに答えてもらおうか。」

「え?俺がですか?」

「うん。【メルヘンバトン】なのに俺やあの二人じゃメルヘンになんなくてさぁ。仕切り直そうかなって。」

「ああ、はい。そういうことでしたら。」

「んじゃいきます!」



Q1、王宮の中であなたが就きたい職業は王族?家臣?(騎士、メイド、etc...)

「王が10代目なら間違いなく近衛騎士を選びますね。」

「俺じゃなかったら?」

「無能の下につく気はないので王にします。10代目を!!」

「君の役職を聞いたんだけどな…」



Q2、国同士の争いが起きました。あなたは王族です。
自ら兵士を率いて戦いますか?お城から指示を出しますか?

「個人戦ならば先陣を斬りますが…そうですね、相応しい人間がいないのであれば後方で指示を出します。」

「さすが!」

「輝かしく先陣は勿論、10代目に勤めていただきます…!」

「え。」



Q3、姫(王子)に恋をしてしまった平民のあなた。行動に出ますか?諦めますか?

「身分差くらいで諦める血族じゃありませんよ…俺らは。」

「ビアンキと君見てれば分かる。」



Q4、王(女王)になるなら、国民と仲良しな王?国民に尊敬される王?

「興味ないっス。」

「まあ君は周りが惹かれるタイプだもんね。」

「10代目の吸引力には遠く及びませんが。」

「…なにそれ。」



Q5、騎士団に入りました。あなたが所属したいのは?(ノンジャンルだよ)

「竜騎士団ですかね。飛ぶだけでなく騎竜まで攻撃できるのは有利かと。」

「弓矢に弱いけど。」

「撃ち落とします!」



Q6、騎士になって戦うなら誰の為に戦いたい?

「……これスルーで。分かりきってる。」

「10代目、お顔が…」

「いいの!ほっといて!」



Q7、お城がある場所が選べるなら、空?水中?陸(陸の場合はどんな?)

「陸ですね。空は砲弾の的になったら逃げ場がありませんし…水は出口塞がれたら一貫の終わりですし、何よりダイナマイトが使えませんし。」

「じゃ、どんなとこがいいの?」

「俺の実家なんてどうですか。」

「…そういや君お城に住んでたんだったね…」



Q8、姫(王子)として称えられるなら、頭脳?戦歴?美貌?

「そういえば三拍子揃ってるじゃない、獄寺くん…」

「いえ!!戦歴なんて言えるものは…」

「それでも美貌と頭脳はずば抜けてるじゃないか…」

「頭脳は嬉しいですが顔は…それに容姿ならば10代目の愛くるしさに敵うものはありません!!」

「ならその顔寄越せえぇぇ!!!!」

「じゅ、10代目!?」



Q9、飼いたい空想動物は?

「不死鳥…鳳凰です。」

「意外だ…ツチノコとかいうかと…」

「あれは実在するので。」

「…俺獄寺くんのそういうとこ好き。」



Q10、人間以外で恋愛してみたいのは、エルフ?魔族?天界人?妖精?etc・・・(自分が人間以外になるのも可)

「これこれ!!」

「何がですか?」

「これで天使か妖精がいいって答えたら雲雀さんが「頑張る」って言ってさ。
なんのことかと思ってたら…これだよ…」

「…なんで10代目に…?自分にじゃなくて。」

「さあ?あの人の考えは分からないよ。」



Q11、自分は王様。お妃を何人もとっていいなら何人?

「いりません。俺には10代目だけです!!」

「うわぁ…女の人たちの恨めしい視線が背中に突き刺さる思いだよ…」



Q12、年を取ってやりたいのは、姫(王子)の教育係?騎士団長?町長?王の相談役?etc・・・

「戦えなくなったなら鵞鳥番でもして過ごします。」

「じゃ、獄寺くんも茶飲み仲間だね。」

「?」



Q13、あなたが治めている国で反乱が起きました。国民の要求を聞く?武力で抑える?

「以前なら武力でしたね。今なら聞きますよ。
聞いてどうするかを考えます。そして実行します。」

「…君が王様ならいい国になりそうだね。」

「それはどうでしょう。10代目がいなければどうでもいいことですから。
あなたがやるであろうことを言ってるだけです。」

「そこは成長しないなぁ…」



Q14、国を治めるあなたですが、病でこの世を去る事に・・・。世継ぎへの遺言は?

「10代目を頼む…!!」

「…国は。」

「どうにかなりますよ、多分」



Q15、あなたが住んでいる国の名前はなんですか?

「…………………」

「真剣に考え始めちゃうので流してください…」



Q16、このバトンを5人に回してください(5人以下でも可)

「んじゃ、またあしあとから。」

「雲人女史、
ななと女史、
カズナ女史、
恋女史、
紫音女史。
まあ出回ってるからな、気が向いたらで構わないぜ。
ところで10代目。」

「ん?」

「その羽根外さないんスか?(可愛いですが)」

「…取り敢えず夜までは外せないんだよね…」

「は?」

「今朝そこから雲雀さんが来てさ。」


窓の外を指差して10代目が遠い目をする。


「寝てた俺の背中踏みつけてこれ装着して去っていったんだよね。
「動作確認に夜くるからそれまでに外したら食う」って。」


「食う」かよ…肉食野獣め…


「…………10代目、これを。」

「何?」


10代目の小さな手の上に芯の無い火薬の筒を乗せる。

その手を両手で包み込む。


「煙幕です。いざとなったらこれで逃げてください。」

「獄寺くん…!」


まあ10代目に触れるその前にヤツは果たすけれど。

取り敢えず、帰りに応接室は爆破しておこう、うん。


「獄寺くん、最高!」

「いえ、そんな…」

「も〜、大好き〜!超好き!!」


ぼふりと背中に組み付く10代目。

思わぬ行動に固まっているとぬいぐるみにするように頬摺りを…

…………可愛い…!持って帰りたい…っ!!

幸せを噛みしめぐっと拳を握りしめる。


「!」


そこで手の中のリストを思い出した。

そうだった…幸せに浸っている場合じゃなかった…


「10代目…すみません、まだ資料集めが残っているのでそろそろ…」

「あ、ごめん。引き留めちゃって…」

「いえ!」


名残惜しいが時間が限られている。

くそ〜…できるなら雲雀が来るまで張っていたいくらいなんだがな…

俺はしわくちゃになったリストを伸ばすと一番上に書かれた名前を確認する。


「…あいつかよ…」

「ん?」

「あ、いえ…では10代目。呉々も、呉々も戸締まりにはお気をつけて!!」

「分かってるよ…」


小さく手を振る10代目に見送られて俺は10代目のお宅を後にした。

さて…まずは山本の家か…


「だがその前に学校によって敵地を叩かねえとな…!!」












END?

【愛の試練バトン】へ続き、たい…




うんうん、メルヘンかは分かりませんが夢はあったかと(笑)
獄寺の不審な行動はこの後回答予定のバトンへと続いて行きます。