短編2
※番外なので設定滅茶苦茶です。 day1:気になる 「ちょっと。」 「きゃうっ!?」 人型になっても残ったままの綱吉の短い尻尾を掴む。 さっきからピョコピョコして気になるんだよ… 「や〜、や〜!痛いです、放してください〜!!」 あんまり嫌がるから離してやるとささ、と骸の後ろに隠れる。 「雲雀…苛めは良くないですよ。」 「違う。尻尾動かすの止めてくれないと我慢出来ないんだよ…」 「ふえ?」 猫じゃらしみたいなんだもん…あの子の尻尾。 うずうずするんだよ、飛びつきたくて。 人型をとってても性は猫だからね。 「尻尾触りたいんですか、雲雀さん?いいですよ、ぎゅってしなきゃ。」 「……………うん。」 やっぱ分かってないな、この子…でもいいか。 おいでと手招くと膝の上に向かい合わせに座る。 尻尾を撫でてやるとピョコピョコとまた動き出す。 …………ヤバいな、カプっていきたい… 「雲雀さん、雲雀さんの耳触りたいです!!」 「ん?ああ…」 きらきらした目で見上げてくる綱吉。本当に大好きだねぇ… 頭を振って収納していた本来の猫の耳を出す。 少し動かすと綱吉は嬉しそうに耳に手を伸ばしてきた。 「ひょこひょこ。可愛い。」 「うん、可愛い可愛いvv」 耳に夢中な綱吉を抱きしめる。 あ〜、もう本当に可愛い。食べたくなるのも仕方ないよね。可愛いのがいけないんだ。 思う存分ハムスターに頬摺りしているとにょきりと伸びた腕が綱吉の腰に回る。 「………何。」 「独り占めしないでください。」 「んに?」 膝の上から温もりが無くなる。 突然後ろ向きに抱えあげられて綱吉は目をぱちくりさせている。 「骸さん?」 「僕にも触らせてください、綱吉くんの尻尾。」 「いいですよ?骸さんの尻尾触らせてくれたら。」 綱吉がそういうと骸は困ったように眉尻を下げた。 「残念ながら僕は雲雀のように一部だけ変化は出来ないんです。」 「そ、なんですか?」 「ええ。ああでも狼の時と変わらないものもありますよ?それでもいいですか?」 「それ触れる?」 「ええ。」 「なんですか?」 綱吉を抱き上げたままニィと骸が笑う。 「舌ときば」 「おおっとこんな時間だ。」 骸の腕から綱吉を取り上げるとぽいと廊下に放り出す。 「さあ、風呂に入らないと綱吉!すぐ行け、今行け。」 「ふえ?」 「僕は綺麗好きなんだ。汚い子はベッドに入れてあげないよ。」 「!入ってきます!」 ぱたぱたと廊下を走る音を聞いて僕は扉をしめて骸を振り向いた。 奴は素知らぬ顔で緑茶を啜っている。 「……君。」 「そんな怖い顔しないでくください。ちょっと甘噛みしようと思っただけじゃないですか。」 「………」 そんなギラギラの目で言っても信用出来ないよ。 人型になるとすぐにこれだ。危険極まりない。 いつか綱吉に襲いかかるんじゃないかって気が気じゃない。 「君さぁ。狼のままでいなよ、安全だから。」 「君も人間のままでいたらどうですか。安全ですから。」 「…お前ら二人とも危ねぇよ…」 本を読んでいた獄寺がぼそりと呟いた。 ……まあ、確かに。 day2:元凶 ブピィッ! 「!」 獄寺くんが新しいおもちゃをくれた。 丸いブタさんの形したぷよぷよ。潰したらなんか凄い音。 プピィ、プォォ!! 「綱吉くん、これ面白いですよ。」 前足でブニブニとブタさんを押す骸さん。 俺もやりたくてブタさんに登ってみたけどブタさん、全然鳴いてくんない… ぴょこぴょこ跳ねたらピュッて鳴ったけどそれだけ。 むくれてたら骸さんが苦笑して頭舐めてきた。 「綱吉くん軽いから。ブタさんの方がちょっと大きいですしね。」 「む〜…」 諦めきれなくてまた跳ねるとピュコって鳴いた。 なんか本当に生きてるみたい。 ぷにぷになのも気持ちいい。 がっしり組み付いたらバランス悪かったみたいでころんと転がっちゃった。 逆にブタさんが俺の上になった。骸さんはそれが面白かったみたいで笑ってる。 もう!見てないで助けてください!! 「クハハ、ああ、すみません。」 大きな鼻先でブタさんを退かしてもらう。 「う〜…」 「あ、コラ!綱吉くん!」 潰されてムカッとしたからブタさんに飛びかかったら骸さんに止められた。 でも無視してがぷりとやろうとしたらブタさん、丸いからコロコロしていっちゃった。 でも逃がさないぞ! 必死に追ってたらやっとブタさんが止まった。 「捕まえた!」 「うん、捕まえた♪」 「ふぎっ。」 ぱふっとブタさんに飛びつこうとしたら背中にのしりと… 「ころころしちゃって綱吉ったら。そんなに僕に遊んで欲しかったの?仕方ない子だね。」 「や〜!!や〜!!」 「ああもう言わんこっちゃない!!」 ブタさんに夢中になってて雲雀さんのお昼寝区域に入っちゃったの気付かなかった…!! じたばたしてもびくともしない! この後ぱくりと雲雀さんにくわえられて台所に連れてかれそうになるのを骸さんが必死で止めてくれた。 もうブタさんなんか大っ嫌い!!!! day3:挑戦 「しまった…」 ぼそりと獄寺が呟いた。食事の支度中くらい 煙草を止めろと言っているのに。 「どうかしましたか。」 「煙草のストックがもうねぇ。」 「買いだめが仇になりましたね。」 獄寺は短くなった煙草を灰皿に押し付けるとわしゃわしゃと頭を掻く。 しばらくじいっと空中を睨んでから気を取り直したように料理を再開するが舌打ちやら苛々した声が増えている。 脂切れか…触らぬ神に祟り無し、八つ当たりされる前に離れよう。 立ち上がろうとして僕は背をよじよじと登る存在に気付いた。 動かずじっとしているとそれは頭の後ろをよじ登って僕の両耳の間にちょこんと顔を出す。 「獄寺くん、ご機嫌斜め?」 「ええ。いやですねぇ、ニコチン中毒者は。」 「るせー。」 ちっとまた舌打ちをしている。柄が悪いったら無いですね… 「ね、ね。骸さん。」 「なんですか?」 綱吉くんがつつーと頭から鼻先に滑り降りてきた。 …この子偶にすごく器用だ。 「煙草、買いに行こう!」 「……………………はい?」 「獄寺くんの煙草買いに行くんだよ、骸さん。」 得意げにヒゲをひくひくさせるハムスター。 …しょーがないですねぇ。 よっこらせと立ち上がるとのそのそと扉に向かった。 ……あ、そうそう財布はどこでしたっけ。 いつもの散歩コースを歩きながら頭の上を見上げる。 見えないけれどご機嫌なのは鼻歌でわかる。 「綱吉くん、小銭落とさないでくださいよ。」 「は〜い。」 さて、どこに行きましょうか。 僕が知っている自販機はかなり遠い。 近くにあればいいが煙草の自販機なんて普段気にしていないから…と。 「…………」 「どしたの、骸さん。」 「いえ、そういえばあったなと思いまして。」 「ふぇ?」 僕はくるりと踵を返すと垣根に突っ込み他人の家を横切ってそこに向かう。 こんな雲雀みたいなことは保健所に追われる時しかやらないんですけどね。 今は綱吉くんいますし早く帰らなくては。 低い塀を飛び越えて店の裏に出る。 何食わぬ顔で表に回ると見知った男が立っていた。 「あれ、獄寺んとこの…」 「あ〜!山本だぁ〜!!」 箒で表を掃いていた男を見てぴょこぴょこと綱吉くんが頭の上で跳ねる。 ああ、そうだった。綱吉くんはここのペットショップにいたんでしたね。 僕がてってけと歩み寄ると山本は綱吉くんに気付いたようだった。 「お〜、ツナ。元気だったか?」 「うん!」 「ははっ、なら良かった。ワン公、散歩コースいつもと違うな。首輪はしてないと危ねぇぜ。また追われてたら来いよ?」 わしゃわしゃと頭を撫でられる。 …山本はただの人間だ。僕らの言葉はわからない。 でも悪い人間ではないから嫌いではないですね。 僕は犬のように一声吠えると尾を振って見せた。 「うんうん。いい返事だ!」 山本はぽんぽんと僕らの頭を軽くたたくと箒を持って店内に戻っていった。 さて、僕もとっとと用事を済ませますか。 「骸さん、なんでここに来たの?」 「あれがあるからです。」 「?あ、煙草!!」 ペットショップの脇に並ぶ自販機。 たくさんある飲み物の自販機の端に一つだけ煙草の自販機がある。 僕は二本足で立ち上がると前足を突っ張ってコイン投入口まで顔を持ち上げる。 「さ、綱吉くん。」 「んに。」 つつーとまた鼻先に滑り降りて綱吉くんは抱えていた硬貨をちゃりちゃりと入れていく。 「全部入れたよ!」 「はい、じゃあ戻ってください。」 よじよじと僕の頭の上にハムスターが戻るのを確認して前足の爪を立て更に自販機の上の方に頭を持っていく。 「この緑の?」 「いえ、似てますけど違います。それの黒いのです。」 「じゃ、もうちょっと左!」 「はいはい。」 びょこ、と左に跳ねる。 綱吉くんがうんうん唸りながらスイッチに向かって前足を伸ばす。 やがてがこん、と言う音がして商品が転がり落ちた。 受け取り口に鼻先を突っ込み煙草を取り出す。 「どう?」 「合ってます。綱吉くん、偉いですね。」 「エヘヘ。」 得意気に煙草を抱えて帰った綱吉くんに獄寺は泣くほど感激していた。 そうして「この煙草は宝だから絶対吸わねー」とか言い出す始末。 …「はじめてのおつかい」じゃないんですから。 このハム馬鹿め。 END はい、調子に乗った第二弾でした(笑) だんだんツナだけでなくムクウルとヒバニャンにも愛着が湧いてきて描写の為に本屋に通いましたよ… 人型ももちろんいいんですが動物化はCPより可愛さ重視のなるのがまた楽しいですね♪ |