短編3

※番外なので設定滅茶苦茶です。







day1:譲らない


最近、なんかつまらない。

昼寝してても綱吉が全然近寄ってこない。イジメる理由が無くてつまんない。

原因は…あれだ。

獄寺がクリスマスにあげた大きなカピバラのぬいぐるみ。綱吉はそれの上を気に入っていて寝るときも遊ぶときも離れない。

まあ、そのうち飽きるとは思うけど、僕は今つまらないんだよ。


「……………」


出窓に寝そべって恨めしげにカピバラを睨む。今もその背中で丸くなって綱吉が眠ってる。

…あんなカピバラより僕のが絶対いい毛並みなのに!

床に飛び降りてカピバラの周りをぐるぐる回る。

そんなに気持ちいいのかな…

試しに顎を乗せてみる。…フカフカ。でもやっぱり僕のがいいに決まってる。

頭からもさもさとよじ登って綱吉を囲むように寝転がる。


「柔らかすぎ…」

「…何やってんだお前。」

「硬さも僕の方が素敵だと思うんだけどどう?」

「話が見えねぇよ…」


参考書を手に首を傾げる獄寺。僕は構わず寝る体勢に入った。


* * * *


翌日。

参考書を手にリビングに入るとカピバラに乗って寝る雲雀の上にちょこりと丸くなって寝ている綱吉がいた。

………親子蛙みてぇ。










day2:季節


あちこちに散らばる黒い毛。

コロコロ片手に獄寺ががっくりと肩を落としている。


「…っ骸!」

「ここにいますよ。」


伏していたテーブルの下からのそのそと這い出る。

獄寺は眦を吊り上げてビシリと窓の外を指さす。


「庭に出てろ。ブラッシング済むまで家に入るな!」

「はいはい…」


毛が生え変わる時期だから仕方ないじゃないですか。

コロコロで僕の抜け毛と戦い始めた獄寺を余所によっこらせと立ち上がる。

ひなたぼっこがてらテラスで昼寝していればそのうち獄寺も来るでしょうし。

下駄箱のブラシをくわえてリビングを横切る。


「骸さん、遊ぼ!」


リビングに入ると茶色い毛玉がちょこちょこと走りよってきた。

…またケージから勝手に出て。


「ブラッシングが終わったらいいですよ。」

「どこ行くんですか?」

「テラスです。獄寺は今忙しいようなので寝て待とうかと。」


足元をちょろちょろ動き回る綱吉くん。

元気ですねぇ…

鼻先で窓を開けてテラスに出る。やはりいい天気だ。

テーブルの上にブラシを置きごろりと横になる。


「!」


もそもそとした感触に首だけ持ち上げる。

綱吉くんが尻尾を伝って僕の体をよじ登っている。


「骸さん毛がぽろぽろしてます。」

「季節の変わり目ですからねぇ。部屋が散らかるって獄寺に怒られて追い出されちゃいましたよ。」

「じゃ、ぽろぽろしなくなったらおうち入れますか?」

「そうですねぇ…どうですかねぇ…」


ぽかぽか陽気にウトウトしてしまう。

ごめんなさい、綱吉くん。遊ぶのはまた後にしましょう…


* * * *


毛だらけだった部屋の掃除を終えてリビングに戻るとテラスに黒い固まりが。

…昼寝してやがる…ったく、いい気なもんだぜ。

カラリと窓を開けると黒い小山の上でハムスターがせっせと動き回っているのが見えた。


「…何やってんだ、綱吉。」

「あ!見てみて、獄寺くん!いっぱい取れたよ!」


綱吉が自慢気に自分と同じくらいの大きさの毛玉を持ち上げる。

骸の毛…だな、これ。


「確かにたくさんだな。」

「うに。」

「なんでこんなに集めたんだ?」

「骸さんがぽろぽろしなくなったらおうちで遊んでくれるって。」


なるほど、それで頑張ったのか。偉い偉い。


「よし、二人でやるか。」

「うん!」




綱吉の頑張った成果をビニールに入れてやったら自慢気に骸に見せていた。

お礼に毛繕いを骸がしてやっていたが舐め終わってから舌なめずりする姿に少し不安を覚えた。

大丈夫かこいつ…

ジト目で見ていたら肩に黒猫が飛び乗ってきた。


「大丈夫だよ。ハムスターの時は。」

「より不安になるだろ…」









END



もう恒例化してまいりました、携帯サイト拍手お礼。
今回も楽しんで書きましたがそろそろこの三匹だというのも…ね?
ということで次のシリーズからゲストが登場し始めます(笑)