登場人物たち
〜孤軍より〜




「うぐっ…!」
「急に動くな!毒にやられてるんだ、てめぇは!」
「だがG!」
「解ってる!!だが今更じたばたしてもしょうがねぇだろ!?とにかく落ち着け!」

襲ってくる眩暈と吐き気を堪え、片腕と認めた男を見やる。
睨み合ったところで何が変わる訳でもない。

「今更、と言ったな。」
「………ああ。アラウディだ。あいつが他国の諜報員だったわけだ。」
「二年間、俺たちはまんまと騙されたわけか…。」

けれどもアレは主無くしてはただの石くれと変わりない。
そしてアレは国を思う者にしか応えない。
奪われたところで使えなければ……

「!」

こういう時に自分の勘の良さを呪う。
揺れるヤツの目に嫌な予感に駆られた。
まだくらくらとする頭を抑え部屋を見渡す。そしてそれは焦燥に変わる。

「綱吉…そうだ、綱吉はどうした?」
「……」
「G!

別の部屋にいるのかもしれない。
可能性はいくらでもあるのに、ここにあの子がいないことが不安で堪らない。
どうか、この予感が外れであって欲しい…!
だがそう願う俺の眼前に差し出されたのは見覚えのある靴。

「これは…一体何故これが!?」
「隠すように揃えて置いてあった。
…多分足音を消すためだろう。大したガキだな。」
「まさか…!!」

アラウディを追いかけて…!?何故そんな無茶を!!
奴の実力は分かっている。素人の敵う相手ではない!!

「落ち着け!!あいつは死んではいない!…攫われちゃ無事とも言えねえが。」
「なん、だと…?」

攫われた?何故あの子が!?
人質とは考えにくい。逃亡には足手纏いにしか…
詰め寄る俺にGは険しい表情を浮かべる。
内気で人見知りで…子犬のように笑う少年の姿が脳裏に浮かぶ。
綱吉が、連れ去られた…?現実味がない。
Gに手渡されたあの子の靴。それを持つ手が震えた。


(本文より)

思い入れが強い作品なのでイメージ…とまではいかなかったのですがダイジェストみたいな構図が素敵よのう…!!と(笑)
文字入りもあったのですがそちらは是非ピクシブで!!