傾城イメージ




チャプン…

水面に仰向けで浮かぶ。気持ちよくて好きなんだ。

「水の中って気持ちいいよな…」
「はい。綱吉くんはこの中で生きてきたんですね。」
「…うん。生涯出ることは無いって思ってたんだけど。」

まさか、足を得て故郷を捨てることになるとは。姉姫と同じ道を辿ることになるなんて、思わなかった。
でも彼女は自ら恋を選び故郷を裏切り海を飛び出し果てた。俺とは違う。

俺は愛なんて信じないし、泡になる気なんてないから。

「人魚の祖は鳥だったんですか?」
「ううん。俺たち人魚は一度海を出て天を選んで…でも恋しくなって、海に帰ったんだよ。」

俺は祖先返りしてるそうだからかなり元に近い筈だ。
俺の翼は天使ほど白くないし綺麗じゃない。
進化の途中で海に還ってしまったんだ、きっと。

「海は俺たちを受け入れてくれたけど、二度目の裏切りを許さなかった。
足を尾鰭に変え翼を奪い空に陸に焦がれないように海の底でいきることを強いられた。」

そんなことをしなくても、俺たちは海から離れられないのに――。
人魚姫ですら最期は海に飛び込んだ。陸に住む人間に恋をしても、彼女は陸地を選んだわけではなかった。

チャプリと水面が揺れる。
視線を上げれば水を滴らせた天使が俺を見下ろしている。
腕を伸ばしてその頬に触れる。綺麗な顔。誰かが丹精込めて彫り上げた彫刻のようだ。
神さまに、愛されてるんだなぁ…
もう滅びることが決まった俺とは大違いだ。

「綱吉くん?」
「も、上がろ。体冷えちゃうよ。」
「…そうですね。」

(本文より)

小説のページはイメージカラーに近くなるように微調整しながら決める。
傾城は青。文字の背景の色が理想の色。
ひらさんのこれ見たときには射抜かれましたよ…
も〜う…理想の色だよ!!
雰囲気も理想的!

しかしひらさんはこれを描いたがために私に捕獲されました(笑)
もう逃がしません。