純白に濁る柘榴イメージ
「ぷひゃ!」 あ〜…また転んでやんの。全くツナは相変わらずドジっ子だなぁ… 手を貸してやろうかと俺が歩み寄るより先に、黒い腕がツナの体を抱き起こす。 「あ、ありがとうございます………って雲雀さん?」 「なに。」 「あの、降ろしてください…」 スタスタと抱えられた態勢のまま歩きだす雲雀にツナがジタジタと腕を振り回す。 街中でそれは目立つもんな〜。 傍目から見れば不自然な抱え方だから雲雀が怪力に見えるが実際はツナが猫程の体重しかないんだな、あれ。 「いいよ、また転ぶでしょ。それに幼児は寝る時間だよ。」 「この態勢じゃ寝れません…」 「そうだ!お前なんかに任せられるか!俺がお抱えする!」 ガウと吠えかかる不良神父。 最近恒例の構図だ。いや〜…平和だな〜… 「…lord、楽しそう…」 いつの間にか俺の隣に来ていた巫女さんがポツリと呟く。 普段は無表情なその口元がほのかに綻ぶ。 …だんだんこの子も表情が出てきたよな…いいことだ。 「あの人達、見てると私も楽しい。」 「見てるだけでいいのか?」 「?」 ぽん、と肩に手を乗せるときょとんとした顔を向ける。 お〜、ツナもそんな顔してたよなー、昔は。 俺も、あいつら見てると楽しい。 ツナが仲間に囲まれている姿を見れる日がくるとは思ってなかったからな。それだけが心配だったんだ… それに……… じゃれあう三人に、まだ人間として生きてた頃の俺と友人たちが重なる。 「あなたは?」 「ん?」 「あなたも見てるだけでいいの?」 「!」 今度は俺が驚く番だった。 そー切り返されるとは。なかなか鋭いなこの子。 「山本〜!」 「ん、どしたツナ。」 気付けばかなり三人との距離が離れてる。 言い争いすると速度も上がるんだよな、あいつら… まだ抱えられたままのツナが助けろと目で訴えている。 しょうがねぇなあ… 「ほら、行こうぜ。」 「あ…」 巫女さんの腕を掴んで走る。 触れられるといちいち驚くあたり、あんまり人と交流しなれてないよな、この子。 もっと慣れさせないとなぁ…この旅なにがあるかわからないんだし。 「んじゃ、あっちよろしくな。」 「え!」 ぽんと強めに背中を押す。 よろめく巫女さんの腕をツナが掴んだ。 「おとっ!」 「悪ぃ、強すぎたか。」 「駄目だよ、山本。凪は女の子なんだから、加減してあげて。」 「いや〜。ツナと半人神父より加減したつもりだったんだけどなぁ…」 「誰が半人だ、言うに事欠いてこの野郎!!!!!」 「その通りじゃない。」 「てんめえええええええ!!!!」 「まあまあ。」 あ〜…いいな、この感じ。 ツナが笑ってる。俺も、笑えるようになった。こいつらといるおかげで。 束の間でも、この空気に触れられたことを幸福に思う。 すーてーきーだー!!!!! このイラストもらって私が始めにカゲさんに返したメールは「自慢していいですか?!」でした(笑) その前にまずやることがあるだろう、自分… いつもは本文から抜粋した文を載せるんですが、今回はいいシーンがなかったのでSSを書かせていただきました。 はたしてこの素敵絵に見合うかどうか…
このイラストは細部まで拘られていて、左側にあるマークも教団のマークとして作ってくださったそうです。
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