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〜神が宿る木に〜




桜。

満開の桜だ。

グランドとアスファルトの通路を囲むように植えられた桜の木々に散る寸前のような花が咲き誇っている。

もう衣替えも済んだこの時期に…


「まさか骸の幻覚…じゃないよな…」


鍵のかかっていない門は少し重かったけれど簡単に開いた。

木に近付いてみても骸がいる感じはしないし…やっぱり、本物っぽい。


「すごい…」


こんなに綺麗に咲いてるの、初めて見た。

風がそよぐ度に花吹雪が校庭に降る。

そっと幹に触れれば暖かい…それが心地よくて両手を広げて木を抱き締める。
















「君は桜が好きかい?」
















「!」



何時の間にか、後ろに雲雀さんが立っていた。

腕を組んだまま桜を見上げて微笑んでいる。


「ねぇ、桜は好き?」

「…好き、だと思いますけど…」

「今でも?」

「へ?」

「今でも好き?桜。」

「そりゃ……」


ズクン


「っ!?」


心臓を貫くような痛み。

胸を押さえて木にもたれ掛かる。

呼吸がつらい…!!なんで…?

ずるずると地面に座り込む。視界に黒い足が入った。

顔を上げれば笑ったまま俺を見下ろす雲雀さん。

前髪のせいで目元は見えなかった。ただつり上がった口元だけが見える。


「っは…はぁっ…ふ…」


苦しい。痛い…つらい。

胸を両手で押さえたまま、目の前の人を見上げる。

雲雀さんがゆっくりと腕を伸ばす。

白い手が降りてくる。

その手が





(本文より)

現在は10話まで進んでいますがこれ貰った時はまだ全然話が進んでなかったんです。
だから「なぜあそこからこんな素晴らしい構図が生まれたのか!!」と驚きました(笑)
さすがはりつ画伯。張り切って続きも書かねば。
毎度毎度国宝をありがとうございます!!