祝ってよ。






「さあ来い。」

「誰が行きますか。」


じりじり迫る僕に箒を構え後退する綱吉。

なんで逃げるかな。取って喰おうとしてるわけでもなし。


「掃除まだ終わって無いんで!!」

「さっきちりとりで葉っぱ集めて捨ててた。」

「これから拭き掃除が!!」

「…ここをかい?」


校舎裏だよ、土の上だよ。何を拭くの。

大きく一歩を踏み出す。

同じだけ下がった綱吉の背が壁にびたりとついた。


「なんで嫌がるの。誕生日だよ、誰も祝ってくれない僕が可哀想だと思わないの。」

「羊ぶった貴方に騙される俺の方が可哀想だ。」

「人畜無害な風紀委員を捕まえて失礼な。」

「なんでもいいですが俺になにしろっつーんですか、鬼畜有害な風紀委員長様。」


フーッと毛を逆立てて威嚇する子猫。

そういうちょっと生意気なとこが気に入ってるんだよね。

その癖ちょっとプルプルしてるの、可愛くて好き。


「祝え。」

「嫌だ。」

「なんで。誕生日だよ。記念すべき20歳だよ。」

「一瞬そうなのかと思いましたけど嘘だと超直感が告げてます。」

「いいから来なよ。誕生会しようよ。」

「…それはどのような誕生会で?」

「普通の。ケーキでパチパチの。」


綱吉はじい、と疑いの目を向けてくる。

失礼だな、第一普通じゃない誕生会ってどんなのだい?

来い来いと手招きするとそろりと箒を下ろし綱吉がてけてけと歩み寄る。

まだ警戒してるけどこのやりとりは毎度のお約束みたいなものだから本気で拒否してるわけでは無いはず。


「…いじめ無いですか?」

「いじめないよ。」

「ホントに?」

「しつこいね。」

「さっきから気になってたんですけど。」

「何?」

「…なんで雲雀さん、右手ずっとポケットに入れたままなんですか。」


…目敏い。けどお馬鹿さん。

僕は近くまで来ていた綱吉を後ろ手に捻り上げた。


「痛い痛い痛い!!嘘つき、雲雀さんの嘘つき!!」

「あっは、ホントお馬鹿だね、君は。おかしいと思ったら機敏に行動しなきゃ。」


僕はポケットに隠していた右手を綱吉の前で開いて見せる。

オレンジのリボンのロール。

ぎくりと固まる綱吉にぐるぐると巻き付けていく。

最後にに両手首を括って可愛くリボン結びにしてあげる。


「うわあ、HAPPYbirthday、僕!」

「だああああ!!」

「さあて、誕プレも調達したし応接室に行こうか。」

「いじめですよ!これいじめ!!」

「なんで?セオリーさを君が求めるから実行してあげたのに。」

「ネタとしてはホント、セオリーだよ!!」


でも違う〜!!と叫ぶ綱吉を肩に担いで歩き出す。

いい仕事したなぁ。


「大体なんで休みに学校にいるんですか…」

「休みに罰掃除するお馬鹿さんを眺めながらお茶を飲みたかったから。」

「だったら大人しくティーブレイクしててください!」

「やだなぁ、ちょこまか動いてる小動物を前にお預けなんて。そんな拷問耐えられないよ。」

「こっちのが辛い!!」


ビチビチ暴れる陸の鯉。足先までぐるぐるだから本当に魚みたい…

本当に面白い。飽きないよ。

さっき飛び出した窓を開けると先に綱吉を投げ入れる。


「えい。」

「ぃだあ!!」

「よいしょと。」


窓枠をひょいと飛び越えると恨めしげな顔の綱吉。

捌かれる前の魚ってこんな顔してんのかなぁ。


「やっぱりいじめる気なんじゃないですかぁ〜…」

「いじめないよ。可愛がって遊ぶだけだよ。」

「あなたの可愛がるは俺にはいじめに他ならない…」

「ほらリボン解いてあげるから機嫌直して。」


嫌がる様が楽しくてついいろいろ仕込んじゃうんだよね。

しゅるりとリボンを解く。でもちょっともったいないから首にプレゼント結びを作る…うん、可愛いvv

ポフっと首のリボンに触り綱吉はがっくりとうなだれる。

何、その反応。


「も、いいです…諦めました。」

「ん、そう?」

「雲雀さん。」

「何。」

「…いくつかわかんないですけど、誕生日おめでとうございます。」

「………ん。」










END





勢いだけで書き上げたからなぁ…
何もしない予定がミクシィでいろいろ他の人の作品見てたら私も何かしなくてはと…

とにかくおめでと、いいんちょー!!


しかし間に合ってないよ、5/6だよ、アップしたの!!