祝ってやるぜ?










「ツナ!」

「嫌です。」

「まだ何も言ってねぇぞ!?」


言わなくても分かります!!

部屋に突如現れた兄弟子にびしりと指先を突きつける。


「ポケットにリボン入れてるでしょう!!!!」

「お前はエスパーかよ……」


苦笑しながらディーノさんが取り出したのはリボンではなく鞭。

けど俺は慌てない。こうなることは分かってる!去年の今日で学んだんだから!


「ツナ、手荒なことはしたくねぇんだ……大人しく誕生日プレゼントになろうぜ。」

「プレゼント先で手荒なことされたらどう責任とってくれるんですか…」

「大丈夫だ、舐めるように可愛がるって言ってた!」


それ死刑宣告!!

ゴールデンウイーク終わる前に俺終わる!!

じりじりと迫るディーノさんにじりじり後退る俺。

後ろには机と窓、扉にはディーノさん。

追い詰められてるように見えるけれど俺だって手は考えてるんだ!


「ごめん、ディーノ兄!!」

「!」


突然、横合いから突っ込んできたフゥ太に反応が遅れるディーノさん。

俺に集中してたせいで気付かなかったのと、いつもの癖で受け止めようとしたせいでフゥ太の渾身のタックルに倒れ込む。

ナイスタイミングだ、フゥ太!!


「ツナ兄、今だよ!」

「フゥ太ありがとう!」


持つべきものは弟だよな…!そう実感しながらガラリと開けた窓枠に手と足をかける。

……まあ正確には「弟のような存在」だけど。


「雲雀さんにはなんか手頃なサンドバッグか可愛いぬいぐるみでもあげてください!!」

「あ、待てツナ!」


待ちません!!

窓枠を乗り越えて地面に向かって飛び出す。

一年前の俺なら信じられないけど崖を素手で何度も登らせられればこれくらいの芸当はできるようになる。

……あんま嬉しい特技じゃないけど。


「っておわああああ!?」


もう、空中に飛び出た状態の所でひょこりと真下に現れた人影。

ヤバいと思ってももう遅い。

両手広げて見たことないくらいきらきらしい笑顔に戦慄しながらも落ちてくしかない。


「ふぎゃあああ!?」

「はい、捕まえた。」


そのままナイスキャッチで俺を抱き留めた本日の主役はすりすりと頬擦りまでしてくる…


「自分から飛び込んでくるなんて大胆な子だね、そんなに待ちきれなかったのかい。今から迎えに行こうと思ってたのに、逃げる前に。」

「ふぐぐぐ…!!」


まさに実行中の出来事でしたよ!!

抜け出そうともがいてみても「生きがいい」って喜ばれるし…!!

ジタジタしてると玄関から俺を追っかける気満々のディーノさんが出てくる。

でもあっさり捕まってる俺を見てぱちくりと瞬きをするとニヤニヤ笑いを浮かべる。


「恭弥のが一枚上手だったみたいだな、ツナ!」

「今年は大丈夫だと思ってたのに!!!!ディーノさんの馬鹿あぁ!!」

「俺のせいか?よしよし。」


撫でるな、擽るな!!!!

間抜けなペットを微笑ましく見る家人みたいなその余裕がムカつきます!!!!
ていうか降ろせええええ!!!!!!


「やだやだやだやだ!」

「よく跳ねる鯉だね。あれ頂戴。」

「ん?ほらよ。」


ディーノさんがポケットから取り出したのはやっぱり白いリボン!

それを雲雀さんは受け取ると、猫の子みたいに俺の両脇を持ち上げてディーノさんに差し出す。


「……くれるのか?」

「そんなわけないでしょう。しっかり持ってて、逃げ出さないように。」

「おう。よしツナ、高い高い。」

「…ディーノさん、そろそろ怒りますよ……っ」


猫の子扱いも嫌だけどその扱いはない!!

この年で高い高いとか屈辱過ぎる…!!

額の血管がひくひくする俺を余所にディーノさんはえらく上機嫌だ。

頬擦りしようとしたら頭突いてやると息巻く俺の後ろでビン、とどこかで聞いた音。

振り向けばロープのように両手にリボンを巻きつけ張り伸ばす雲雀さん……


「さあ、ラッピングの時間だよ、綱吉。」


………俺、終わった………
















今にもスキップしそうなくらい足取りが軽い恭弥の後ろを「誕生日プレゼント」を担いで歩く。

リボンでぐるぐるにされたツナは精魂尽き果てたのかぐったりしたままだ。

これから奴の巣穴に戻ってされることを考えればまあちょっと悪いなとは思うけどな。偶には俺もツナと遊びたいし。


「ディーノさんのせいだ…ディーノさんの馬鹿、リボーンに言いつけてやる…」

「それはやめろよ!?」


ぶつぶつと念仏のように呪詛を唱えているツナに訴える。

それは切実に勘弁してくれ!!!!











END






間に合った間に合った!!なんとか!!
かなりギリギリだけどね!!
ハンバーグ食いながら頑張ったよ、私!!!!