祝ってください。 「わわっっ!!」 「ぐふっ…!」 確認しないで塀から飛び降りたら骸がいた。 思いっきり潰しちゃったよ… 「……何で降ってくる。」 やっぱ怒ってる…うつ伏せで表情は分かんないけど声低い… 「ご、ごめっ…雲雀さんから逃げるのに夢中で…」 「いいから降りなさい。いつまで乗ってるつもりだ。」 「ああ!ごめん〜!」 慌てて跨ってた体勢から飛び退く。 骸は無言で立ち上がって制服の埃を払う。 鞄抱えて何を言われるかとビクビクしてたら骸が溜め息をついた。 「僕をあれと同列にしないで貰えますか。これくらいでいじめたりしません。」 「あれって…」 「人間は嫌いですが何の目的もなく小動物をいじめて愉悦を感じるほど人間性は捨ててません。」 小動物じゃないやい。 そう言える度胸があれば雲雀さんに毎日追いかけられたりしていない。 骸は俺に歩み寄ると髪に触れる。パラパラと葉っぱが落ちた。 「…ボロボロですね。」 「なりふり構ってられないし。ん…」 骸がハンカチで俺の顔を拭う。どっかで切ってたみたい。白いハンカチに血がついた。 「あ、ありがと。」 「…なかなか出て来ないと思えば…」 「え、俺に用事?」 「はい。」 す、と骸がハンカチをしまった手を俺に差し出す。 手のひらに乗っていたのはピンクのリボンロール… 「………………はっぴーばーすでー、骸。」 「おや、よく分かりましたね。まだ何も言っていないのに。」 「5/5に同じ目にあってるもんで。」 「そうですか。なら話は早い。」 ビンとリボンを両手で張り人好きのする笑みを浮かべる骸。 「大人しくしてれば僕はとっても優しいですよ、沢田綱吉。」 「お前嫌い…」 「僕は大好きですよ。」 抵抗しても多分喜ばれるだけだ…そういう人種だよ、この人たちは。 俺は大人しくピンクのリボンでぐるぐる巻きにされると上機嫌な骸に担がれた。 「…六道さん、六道さん。まさかこのまま歩くの。」 「ああ、大丈夫。周りにはクマのぬいぐるみに見えている筈ですから、多分。」 「絶対って言ってくれ…!明日から町歩けないよ…!」 「ぬいぐるみも沢田綱吉も似たようなものじゃないですか。」 似てたまるか、この野郎。 一瞬いい人と思った俺の純粋な気持ち返せ。 「いいさ、どうせ俺はこうやっていじめられながら生きていくんだ…」 「だからいじめないですよ。持って帰るだけです。」 「うそだ…」 「疑り深いですねぇ…君、普段からそんなにいじめられてるんですか?」 「られてるんですよ。」 …ホントに幻術かけてるんだろうな…通行人がめっちゃ見てるぞ。 まあこいつがクマのぬいぐるみなんて抱えてても視線は集まるだろうが。 「…骸、どこ行くんだ?こっち商店街…」 「こちらの方が黒曜よりケーキ屋が充実していますし。どうせ暇でしょう?祝ってくださいよ、一緒に。」 「俺これでケーキ屋入んのか!?」 「大丈夫です。クロームが先に行っていますから。」 何が大丈夫なのか。 「僕が抱えていればおかしいかもしれませんがクロームの隣にぬいぐるみがいてもおかしくないでしょう?」 そっちの大丈夫かよ! 「俺は全然大丈夫じゃない!!」 「ご心配なく。くまさんにも食べさせてあげますから。膝の上で。」 「嫌だ!!」 「いいじゃないですかそれくらい。僕を踏み潰した償いだと思えば安いでしょう。」 やっぱ根に持ってたか… 「悪かったって。分かったよ、今日は骸の気が済むまで付き合うよ…」 「本当ですか?嬉しいですね。何して遊びましょうか!君で。」 「『で』かよ…」 キラッキラしてるな、眩しいよ。 効果無しでキシリトールのガムのCMいけるくらい輝いてるよ。 「最高の誕生日プレゼントですね!」 「喜んでもらえて何より…」 なにはともあれ。 「誕生日おめでとう、骸。」 「クフっ。どうもと言っておきましょうか。」 ……素直じゃない。 おまけ 「骸様、そのくまさん…」 「可愛いでしょう?空から落ちてきた誕生日プレゼントです。」 すりすりと頬摺りすれば「ホント勘弁して…」と綱吉くんが呟く。 「やっぱり、ボス。」 「ほらくまさんが喋るからバレちゃったじゃないですか。」 「いろいろ言いたいがとりあえず本当にクマに見えてると確証が得られてしがない俺のプライドが守られたことに安堵した。」 「僕は嘘はつきませんよ。」 「……ボス可愛い…」 「やめて、キラキラした目で見ないで、マジで…」 END 誕生日おめでとう!! ツナはお持ち帰り決定ですな。 実はツナが雲雀に追われてたのは委員長が骸誕生日って知ってたからだったりします。 超駄文ですが骸と骸ツナな皆様に捧げます!! |