・生徒会長ゲット!! まさかマフィアより先に滅したいものが出来るとは。 手始めにクロームの携帯を変えさせないと。 僕はリボンでぐるぐる巻きにされたまま後ろに寄りかかった。フカフカだ、感触は悪くない。 悪くないが僕のこの状況どうしてくれよう… ガチャ… 「……」 「……」 「む、骸!?」 「そーですが。」 やれやれ…ようやく部屋の主が帰ってきた。 彼が呆気にとられていたのは一瞬だけで直ぐに僕の体に巻き付いたリボンを外しにかかった。 「獄寺くんが誕生日プレゼントが部屋にあるって…え、骸はここで何してたわけ。なんでクマなんて背負ってたの。ってかこのクマがもしかしてプレゼント?」 「いえプレゼントは僕です。」 「だよな〜、中学生にもなってぬいぐるみなんて、ええええ!!!?」 かぱ、と口を開いて固まる綱吉くんを尻目に弛まったリボンから抜け出る。 きつかった…容赦というものを知らないな、あの二人… 「な、何考えてんだ獄寺くん…!!」 「さあ?ほらクマさんのオプション付きですよ〜。良かったですね〜、沢田綱吉。」 クマを両腕で抱えあげて彼に押し付ける。 僕が寄りかかっても倒れなかっただけの大きさだ。綱吉くんが抱えると上半身が隠れてしまった。 「嬉しくない!!骸じゃないんだから!」 「僕だってぬいぐるみを貰って喜んだりしませんて。」 「お前俺クマにして喜んでたじゃん!」 「幻覚ですし。第一他人にはクマに見えても僕には君の姿で見えてましたよ?」 おいでおいでと手招くと渋々ながらも歩み寄ってくる。 クマを取り上げて綱吉くんを膝に座らせる。最近は慣れたもので綱吉くんも逃げようとはしない。 ……徐々に慣らした甲斐がありました。 「クマじゃなくて君だから嬉しかったんじゃないですか。」 「……ほんと?」 「嘘なんかつきません。」 後ろから見ると髪ポワポワですよねぇ…クマのぬいぐるみというよりやはり僕にはポメラニアンに見える。 ……グリグリしたい。 じぃ、と頭を見ていたらくるりと彼が振り返った。 「プレゼントで嫌じゃない?」 「ええ。君が欲しいならなってあげてもいいですよ。何しますか?膝抱っこでケーキ食べさせてあげましょうか?」 「お前嫌い…」 「僕は大好きですよ。」 かぷっ。 「きゃうぅぅ!!!!」 素直じゃない綱吉くんのうなじに軽く歯を立てれば飛び上がって逃げてしまう。 クマを盾にしてビクビクとこちらを伺う姿は雷に怯える子犬みたいだ。 「何すんだ!!」 「甘噛みです。」 「うう〜…っ」 唸ってます。威嚇してますよ、このポメラニアン。どうしてやりましょうか。 「折角僕がプレゼントになってあげたのに。」 「こんな怖いプレゼントいらないやい。」 「ほ〜う?」 クマをひっつかみ背後に投げ捨てる。 慌てて逃げようとする綱吉くんの足首を掴んで引き寄せると逃げられないように上にのし掛かる。 「やだやだやだ〜!!退け!お前重い!!」 「キャンキャンよく吠えますねぇ、君は。ほ〜ら可愛い可愛いvv」 うりうりと顎の下を撫でながら頬ずる。 嫌がって逃げようとする体をがっちりと抱き込むとぎゃーぎゃーと騒ぎなから暴れ出した。 「離せ〜!!」 「くふ〜!子犬がもがいてます。」 「喜ぶな!」 「それは無理です。僕は嬉しくて仕方ないんですから。」 「ふえ?」 綱吉くんの鼻にキスを落とす。彼は鼻を両手で隠して真っ赤になった。 「君へのプレゼントになれたことがね。まあ多少強引な手法を取られましたが…」 「?」 「ね、綱吉くん。」 「なに…?」 うっすらと桜色に染まった首筋に唇を落とす。 ぴくんと揺れる体。可愛い。 ―――愛おしい。 「誕生日、おめでとうございます。」 きょとんとした顔の子犬に口唇を重ね合わせる。 巡り会えた仄かな光。 君に相応しく生命色のリボンをかけて。 END(骸・深緑ED)
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