カカオ0%





えぐえぐと泣く綱吉。

まだリボンはピンと元気な綱吉の分身に結ばれたままだ。


「むく、……!取って、取ってぇ……!」

「ちゃんと動けたら取ってあげますよ。」


ソファーに寝転がる骸に跨った状態の綱吉は両手首もリボンで結ばれている。

それは口で引っ張れば簡単に解ける。

けど自分で解けばどうなるかは分かってるはず。

綱吉は骸の腹に手を乗せオロオロしている。


「動く…?無理………きゃうう!?」


甲高い嬌声。

我慢の限界に近い骸に突き上げられて綱吉はへたり込む。


「君がゆっくりがいいと言うからこうしてあげたのに。
我が儘を言うならイジメちゃいますよ。」

「!や!やだ!」


ぶんぶんと首を振る綱吉。

なんとか体を起こすとおずおずと膝に力を入れて腰を持ち上げる。


「ん……ふゅ……」


小さく声を漏らしながらゆっくりと腰を落とす。

酷くじれったい動作だけど少しの刺激でも敏感な綱吉には堪らないのだろう。


「あっ、あ……んっ!ひゃうっ……」

「綱吉くん。自分だけ気持ち良くならないでください。もっと動いてくれないと僕が楽しめません。」

「あんっ、あ、あ……やぁ!無理……無理ぃ……!!」


腰の動きは止まらないけれど感じまくってしまっている綱吉にこれ以上自分でやれって言うのはね……


「ちょっと早すぎなんじゃないの。その子にそれ仕込むのは。」

「ふむ……そのようですね。もっとじっくりと時間をかけないと。」


ニヤ、と笑う顔は完全なる悪役のものだ。

綱吉、君懐く相手は選んだ方がいいよ……何故僕には働く警戒心がこいつには作動しないのか。

今も体を起こした骸にすがりついてぐすぐすと泣いているし。だから君をいじめてるのもそいつだよ?


「むく……ふぇっ……」

「急ぎ過ぎましたね……すみません綱吉くん。それはまた次の機会にしましょうね。」

「ん、うん……」

「だから今はこちらに付き合ってもらいましょうか。ね?」

「に……?ひゃううっ!!」


ぼすりと仰向けに倒される綱吉。

中に入ったままだったから相当な刺激になったみたい。ビクビクって……あ。


「は、ああ……あ……」

「くっ……!」

「もしかしてイッちゃった?綱吉。」


トロンとした表情の綱吉を覗き込む。

小さな綱吉自身は未だ縛られたままピンとしてる。

見れば骸が眉間に皺を寄せてなにかに耐えているような……

綱吉の絶頂に巻き込まれたか。でもこの様子だと耐えたみたいだけど。


「……っ後ろだけでイケるようになるなんて大した才能です、ね!」

「ひゃうう!!やあ!やあん!や、待って……!やん、やあっ!」


イったばかりの綱吉がすぐ始まった骸の動きに耐えられずに首を振る。

けど骸にしてみても限界が近いのだろう。逃がす気はないとばかりに腰を掴んで激しく突き上げている。


「や、むく……!はげしっ、あ!ああ、きゃうう!や!おっき……」

「綱吉、すごく気持ち良さそうだね。」

「ひ、ばり、さ……ん、ふ!」


ふにふにと胸に悪戯をするとビクンとより反応する体。

本当に敏感だな、この子。


「まったくです。こんなに締め付けて……抱かれるために、あるような、体です、ね!」

「あん!あ、あ、あ……ああん!!ああ!や〜!!」

「なにが嫌ですか。こんなに腰を振っておきながら。」

「んや、や!取って、取ってぇ!!」


過ぎた快感に反り返りながら必死で訴えてくる綱吉。

後ろでもイケるのにアソコを縛られたままなのはやっぱ耐えられないのか。


「っは……いいですよ?」

「あうっ!!ああんっ!!」


腰の律動は止めないまま骸がリボンを解いてやる。手首の拘束も外してやると綱吉は顔を覆ってイヤイヤと首を振る。


「あ!あ!っめえぇ……!んっんんっ!」

「こら綱吉。この手はなんだい?」

「や!きゃあん!!」


感じてる顔を隠そうとする悪い手を抑えつける。

可愛い声まで聞こえなくなるじゃないか。


「悪い子にはこう、ですよ!」

「ひゃうう!!ああ、ああん!!あ、だめっ、だめえ……っ!!」


ズプズプと生々しい音がより激しくなる。

また反り返る背に、骸の肩に担がれた細い足の爪先までがビクンと快感に揺れる。


「ああ……!あああああああ!!」




* * * *



ぐたっとしたままの綱吉くんに服を元通り着せる。背に刺さる視線は無視だ。


「ちょっと夜行鬼畜。」

「なんですか、鬼畜有害。」

「羽目外しすぎじゃないの。綱吉起きないじゃないか。まだ遊びたかったのに。」

「常にタガが緩んでる男に言われたくありません。」


大体まだってなんだ、まだって。

初心者だからとか言ってたクセにどんな無茶をさせる気だ。

身なりを整えた綱吉くんをソファーに寝かせる。乱れた髪を手櫛で直していると何かが背後から飛んでくる。

振り向かずに受け止めれば………ブランケット?


「……………」

「掛けといて。まだ春休みには遠いからね。風邪で出席率下げられたら堪らない。」

「はいはい。」


くすりと笑いながら綱吉くんの体にブランケットを掛けてやる。

過保護なのはどっちだ。

まったく目を覚ます様子の無い綱吉くんから離れてふんぞり返る雲雀の向かいに座る。


「風邪の心配をするくらいなら足腰の心配もしてあげるべきだと思うんですけどねぇ。」

「そこまでやわじゃないよその子。普段鍛えてるし。僕が。」


ずず、と自分で入れた緑茶をすする雲雀。

日常生活中も変わらずイジメてるということですか、それは……

すっかり冷めている紅茶のカップに手を伸ばそうとし、ふとその脇にある元ペンギンだったチョコの残骸に目が止まる。

そういえばまだかじってる途中でしたね。

残骸の一片をパキリと折り取る。それを口に入れてみる。


「………あまり、甘くないですね。」

「?そう?見るからに甘ったるそうだけど。」


甘いには甘い。けれどさっきはもっと………

まだ寝ている小熊を見やる。

あの子のせいで甘かったのだろうか?

綱吉くんに気を取られていると、パキンという音。

視線を戻せば雲雀が元ペンギンの欠片を口に放り込むところだった。


「……甘いよ、やっぱり。」

「でしょうね。」


顔をしかめる雲雀がずず、と口直しに茶をすする。


「でも綱吉ほどではないかな。」

「同意します。」


チョコレートなんてかなわない甘さですからね。



















「ところでさ。」

「はい?」


寝てる綱吉くんの鼻をつまむ雲雀。

う〜んと唸り出すと今度は頬をつつく。

僕らのせいで気を失ってるんですから容赦してあげなさいって………


「一度貰った物は手放さない限り貰った人間のものだと思うんだけど。」

「……まあそうですね。」

「つまり「あれ」は僕のものだ。」


雲雀が指さすのは僕と綱吉くんが彼の下駄箱から持ってきたチョコの山。

捨てるだとか言っていた癖に……今更何が言いたいのか。


「今日はバレンタインだよね。」

「はぁ……そうですね。」

「『僕が』あげたチョコ、この子食べたよね。」

「………」


綱吉くんの両頬を手で包むようにしてニタァと笑う自称『秩序』。

そーいうことか。なるほど。


「ホワイトデーが楽しみだなぁ。」

「言っておきますが僕のも食べてますからね、綱吉くんは。」


独り占めはさせませんよ。













end







完結に五年もかけてごめんなさい……
当時やりたかったことなどもう忘れてしまったのですが多分こんなだろうと……
当初の暗黒サンドってこんな仲良しだったんだと今すげぇ驚いてます。