DAY1:口調バトン来る?





「雲雀さん、ストーップ!」

「あ、手遅れ。」


もうクリックしちゃったよ。

mixiでニュースだけ見るつもりが他人の日記タイトルを開いてしまった。


「あああ…タイトルからして地雷バトンっぽいから避けてたのに…」

「地雷は踏むものだよ。」

「死にます!!」


綱吉がぐいぐいと僕を押しのけようとするので仕方なくデスクトップの前を明け渡す。

綱吉はカチャカチャとページをスクロールするとぐったりとうなだれた。


「…地雷じゃないけど似たようなもんですね。名指しだ…」

「無視すれば?」

「雲雀さん、俺のIDでログインしてるでしょう!!足跡ばっちり残ってますよ!!」

「バトンぐらいちゃっちゃと答えれば終わるじゃない。」

「これは終わりませんよ…」


は〜、と椅子にもたれ掛かる綱吉。終わらないってどういう意味?

キャスターの椅子を脇に押しやり画面を覗き込む。


『《一週間口調バトン》

内容はとても簡単です。

このバトンを受け取った人は、バトンを回したその日から一週間、お題のキャラ口調で過ごさなければなりません。

ただそれだけです。

お題を出した人は相手が宣言してから一週間ちゃんとチェックしましょう。

お題を受け取った人は次に回す人10人を選んでから一週間やりましょう。』


「…なるほど。」

「ね。終わらないでしょう…」

「キャラ指定は…僕だね。」

「あ〜、も〜!!!!出来ませんって!!本人見てるのに!!こそばゆくなります!!」

「じゃあこのmonoかげ氏を消してこようか。」

「いやいやいやいや!!たかが日記で空恐ろしい目論見すんのやめてください!!」

「日記踏んだ責任をとろうかと。」

「もっと重要な責任を重んじて!!」

「…分かったよ。」


僕は手近な椅子に座りキーボードの入った引き出しに手をかけた。


「…ひ、雲雀さん?」

「今日あったこと言いなよ。僕が書いてあげるから。」

「へ!?」

「口調は僕で日記書けばいいんだろ。それとも内容も僕が書いていいの?」

「いえそれだけは…(汗)」


嫌な予感が、と呟く綱吉。


「きょ…今日はもう遅いですし、明日からってことでいいんじゃないですか?」

「そう?ならいいや。」


僕がカタンと立ち上がると綱吉が慌ててパジャマの裾を掴んだ。


「…何。」

「ど、どこか行こうとなんかしてませんよね?」

「ああ、さっきの?冗談だよ。僕らの貴重なマイミクを咬み殺すわけないだろ。」

「そ、そうですよねぇ〜。」


綱吉が誤魔化すように笑いながら手を離す。

…信用ないなぁ。


「あ、じゃあ次に回す人選ばないと…」

「今はどうせほとんどの人間がやってるよ、そのバトン。僕らは最終日に指定しよう。」

「え…でもそれルール…」

「僕がルールだ、何か問題でも?」

「もーまんたーい…」

「うん、いい子。」


頭を撫でてやると綱吉ばがっくりと俯いて大きな溜め息をついた。


さあ〜て。どんな日記を書いてやろうか。
明日から楽しみだね♪












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