DAY1:口調バトン2週目は…





ツー、ツー、ツー…


「って切りやがりましたよあの男ぉ…!!」

「む、骸?」


床に携帯を叩きつける。

銀座で仕事中にかかってきた雲雀の電話。

無視するべきだった…!

綱吉くんが床に落ちた携帯を拾い上げて溜め息をつく。


「お前…携帯壊れるぞ…」

「ふっ。G'zOneシリーズ、W42CAですのでご心配無く。」

「いやいやいや。」


綱吉くんは顔の前で手を振り「ちゃうちゃう」という動作をする。


「ひび入ってるから、明らかに。」

「そうですね。そろそろ機種変の頃合いですか。」

「それならお前は年がら年中換え時になるだろ!で、なんの電話だったんだよ。」

「口調バトンを回されました…」

「うわあ。」


綱吉くんが同情の籠もった目で見上げてくる。

「相場」という夏企画が終わり、これでやっと連載に着手できると思った矢先に…

月末から来月の頭にかけて幕張メッセの仕事も入っていますしその後はロシアから来るオペラのツアー。

僕は忙しいんですよ、だというのにあの男…!!


「どうしてくれようか、あの若作り…!!」

「落ち着けって。いいか、骸。雲雀さんは鬼畜有害な非常識が俺様って服着て歩いてるもんなんだそ? いちいちキレてたら精神が保たない。」

「………」


そんな死んだ魚みたいな虚ろな目で語らないでください…


「…そうですね。たかがバトンで熱くなりすぎました。ただ日常を記すだけだと言うのに。」

「そうそう。骸なら余裕だよ!」

「しかしですね…今僕は拍手やらの返事するだけでもいっぱいいっぱいなのですよ?」

「俺も返事手伝うからさ!はい。」


僕は綱吉くんから携帯を受け取るとmixiに繋いだ。

早速日記をあげますか…

階段に座りカチカチと文章を打ち始める。

僕より上段にいる綱吉くんが肩にちょんと顎を乗せて画面を覗き込む。


「骸のIDって変わってないよね?この間に日記の返事しておくよ。」

「ありがとうございます。…雲雀に君のその純真さというか素直さといたわりの心が米粒ほどでもあれば僕ももっと心安らかに」

「うん、無理!」

「そんな輝かしい無邪気な笑顔で力いっぱい否定しないでください。」


カチカチと後ろでも携帯を操作する音がする。

ここは彼の親切に甘えるとしますか。













翌日へ