第三話 いつか来た映画館に着いた。 骸は相変わらずソファーに陣取っている。 あいつあそこ定位置なのか? 真剣な顔で携帯を見ている横顔は心なしか笑っているような…? 「骸様、ボンゴレが。」 「おや、珍しいですね。」 骸がこちらを見る。途端、目を見開きビシリと固まった。 あ〜…分かってるよ。悪かったな、おもしろい格好で。 俺は一匹のカピバラを抱えもう一匹は相変わらず頭に乗せたままでいた。 だってこれ暖かいんだよ。下手な防寒具よりぬくぬくする。ここ寒いし。 開き直った俺に対し骸はダメージを食らったように顔を背け口を抑えてふるふると震えだした。 「な…何の用ですか。」 「こないだクロームに世話になったから。これお礼。あと骸にも。カピバラ好きだって聞いて…」 「だ、誰が言ったんですか!!」 「ひぃっ!?」 骸は立ち上がり鬼の形相で詰め寄ってきた。 怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!! 俺はまたまたカピバラを盾に柿本さんの後ろに隠れた。 骸とこの人なら比べるまでもなく骸のが怖い。 「…骸様。」 「だ、誰がそんな根拠のないことを?犬ですか?千種ですか!?僕がそんなけむくじゃらを好きだなどとデマを言ったのは!!」 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」 ひ〜ん!!怖すぎる〜!!!! 俺は恐ろしすぎて骸が直視できずに柿本さんの影に隠れた。 なんかすっごい怒ってる!! 「骸様。」 「なんですか!僕は今ボンゴレに…」 「多分それはクロームではないかと。」 クロームの名が出た途端骸はピタリと黙り込んだ。 二人に対してはあんななのに…やっぱクロームは別なんだ。まあ納得。女の子だしね。 「…何故そう思うんですか。」 「クロームの部屋に最近カピバラグッズが増えてきていたので。骸様が買い与えたのを好きだと勘違いしたのでは。」 いやに「勘違い」の部分に力を込めて柿本さんはそう仮説をだした。 そうなの?なら俺間抜けにもほどがあるじゃん。 「あと携帯の待ち受けにカピバラを設定されて…」 「見たんですか!!」 カッとまた骸の背後に鬼神が復活した。つうかさっきより怖い!!!! しかし流石は冷静沈着な柿本さん。慌てず騒がず骸に自身の携帯を翳して見せる。 「落ち着いてください、骸様。」 一瞬、骸は怪訝な顔をしたが携帯をみると「うぐ!」と呻きまた顔を背け口を抑えた。 何見たんだろ…なんかダメージ喰らってるし… 「ひ、卑怯ですよ千種…」 「あとで送信しますので。」 見ると骸の顔が赤い。ホント、何見たんだ、あんた… 俺が呆然として二人を見ていると骸が無表情で片手をこちらに差し出す。 「?」 「その毛玉、クロームになのでしょう。預かります。寄越しなさい。」 「はあ…」 よく分かんないけども、怒ってないのかな…? 腕に抱えていた白カピバラを差し出すと引ったくるように奪われた。 やっぱまだ怒ってるのか。 「…そちらは。」 「へ?」 「その頭の上のはいいのですか!!」 「あ、いや!」 慌てもう一匹を骸に押し付ける。ちらりと見上げればまた目を見開いて固まる骸。 よし任務完了!!もうこんな怖いとこいられるか!!くるりと踵を返す。 しかし足を踏み出す前に襟首を掴まれた。 「!!」 後ろに引っ張られたたらを踏んだ。何すんだと声に出す前に大きな物に包み込まれる。 「…ああ…駄目だ……い…わい…」 ぼそぼそと喋るので何言ってるのか分からないけど…俺、骸にのし掛かられてる? グリグリと頭をすり付けてくるのが痛い。 え〜と…この現状は一体? END ぐだぐだですみません。初書きのリボーン小説でした。 初期は骸はツンデレだったんだ…まだ骸のキャラが決まってなかったんだなぁ… |