第三話 「いいね…最高の肌触りだよ。」 すりすりとフードの上から擦りついてくる感触に俺はどうしたらいいか分からず縮こまっていた。 カピパラの着ぐるみパジャマは確かにいい肌触りだった。きっとタオルケットの素材と一緒なんじゃないかな? 俺もこんな状況じゃなきゃ嬉しかっ…いやいやこの歳で男の着ぐるみパジャマはキツいか… 「サイズもほぼピッタリだね。でももっとブカブカの方が可愛いから後で手直ししてあげる。」 「えっ、まさかこれ雲雀さんお手製ですか!?」 「僕に不可能はないよ。」 貴方が言うと信憑性が有りすぎです。 にしても凄い…家庭科教師真っ青の出来だ。 本当に雲雀さんには出来ないことなんてないんだろうなぁ… そう思ってフードの影から伺うように漆黒の人を見ると…なんていうか、こう、獄寺くんが猫見てなるようなとろ〜んとした顔をしていた。 雲雀さんの意外な顔に目をぱちくりしていたら腰に回っていた腕の力が強くなる。 あっと思っていたら雲雀さんの胸板に頭を押しつけられてしまった。 …どしたんだろ? 「可愛いvv可愛いvvどうしよう、草食動物。僕、カピパラ飼いたくなっちゃった。」 「へ!?カピパラって飼えるんですか!?」 「こないだルー大柴が飼ってたよ。」 …それは番組の一環であって飼える飼えないの参考にはならないんじゃないでしょうか… 「君、ハムスターも猫もいけそうだね。作ってあげようか?」 「それをどうしろと…」 「そりゃあパジャマなんだから着て寝るんだよ。それあげるから今日から着て寝てね。夜確認に行くから。」 怖くて寝れません、それじゃ。 「だから鍵開けておいてね。」 「貴方は俺を不眠症にする気ですか!!」 毎晩枕元に猛獣がやって来る、そんな予告をされて眠れる訳がない!! そんな恐怖に耐えながらどう健全な学生生活をおくれと!? 「大丈夫だよ。いくら美味しそうでも眠ってる小動物に噛みついたりはしないよ。」 「…………」 美味しそうなんだ… 逆に恐怖が増したんですが雲雀さん。俺今日から死ぬ気で眠らない… 俺がそう心の中で決心しているとくすりと笑う声が上から落ちてきた。 「なんてね。そんなことしたらストレスで小さい生物は死んじゃうだろ?だから今夜君の寝顔見るだけで我慢してあげる。」 よかった…でも今日来ることは決定事項なんだ。 俺がおずおずと雲雀さんの胸に手を突いて体を起こすとよしよしと頭を撫でられた。 「そうだね。まだ早いか…もう少し懐いてからにしよう。そうしたら首輪つけてあげるね。」 「……何の話ですか?」 「愛玩動物の話だよ。ああでも六道に懐いたりしたら駄目。そんなことしたら」 雲雀さんはまた俺の耳元に顔を近付ける。 くすぐったくて肩を竦めたらフードが落ちた。 と、耳にぴちゃりとした感触。舐められた!?と思ったときには熱に浮かされた様な声が入ってきていた。 「虐めて虐めて、喰い殺しちゃうよ…」 END …初書きからかっとばし過ぎでしょ、委員長!! 初期から全く変わってないですね、このお人は。 |