DAY5:行ってみたいと思いませんか〜♪ 「「夢の中へ…」」 「何遠い目してるんですか、骸様。」 そりゃ、したくもなる。 「…休日にディズニ、いえ夢の国に行くのはまあいいでしょう。」 「以前から計画していたもので。」 「犬が車を運転してたのもまあ、目をつぶりましょう。」 「免許簡単に取れたんれすよ〜。」 「…何故。」 ぐるりと後ろを向き問題の人物を指差す。 「何故彼がここにいる。」 「んだよ、文句あんのかよ。」 「それは俺も聞きたいな、獄寺くん…」 当然のように綱吉くんの傍らに立ち日傘を差し向ける爆弾少年。 何故彼が僕の実家に居たのか。 「それに関しては俺から説明します。」 僕らがにらみ合っているのを制して千種がかったるそうに前に出た。 「獄寺隼人が誕生日祝いにディズ…夢の国に行きたいと言い出したので。」 「…なんで千種さんたちが獄寺くんの誕生日祝うの。」 「「「仲いいから」」です。」 「……そうですか。」 ぐっと親指を立てて言い切る三人。 拳交えて芽生える友情もあるって言いますし、もういいです。好きに友情築きなさい。 また遠い目をしているとパタパタとクロームが走り寄ってきた。 「骸様、ボス、チケット。」 「ありがとう。」 「クロームも折角の休みに付き合わせてしまいましたね…」 「いいの。みんなで来たこと、無かったから…」 はにかむように笑うクロームの頭を撫でる。 まあ、偶には思い出作りも悪くはないでしょう。 「じゃ、行くびょ〜ん。」 「獄寺くん、ダイナマイトは置いてきてね。入り口で捕まるから。」 「ヨーヨーは。」 「針出さなきゃいいんじゃねぇか?」 …置いて行きなさい。 「わ〜、ハロウィンに来たの初めてだ〜!」 「物の見事にかぼちゃだらけっスね…」 「ボス、写真撮ろう。」 「撮ってやる。貸せ、ブス女。」 無事に荷物検査を終え入園した僕らはワール○バザールを進みながら華やかな風景に目を奪われた。 遊園地に入ったのは初めてだ。見るもの全てが珍しい。 「祭りのようですね…」 「実際に祭りみたいなもんだよ。遊園地って言ってもここは特別だからな!」 「そうなのですか。」 「あ、骸。帰り雲雀さんに土産買うの忘れんなよ。」 「はいはい。」 例の如く「群れる」のが嫌いな雲雀は夢の国より犬がいいと言ってフラリと朝居なくなっていた。 ……町を破壊してなければいいのだが。 「始めはどこへ行く?」 「カ○ブの海賊。」 「どこ?」 「ちょっと待ってね…んと、これ抜けて左すぐ。」 行列は35分待ち。これはまだ短い方なのだという。確かに順番は6人で話していればあっと言う間に回ってきた。 「船、ですか?」 「うん。」 「さ、どうぞ10代目!」 「…うん…」 先に乗り込み綱吉くんに手を差し出す獄寺。…それは女性にやりなさい。綱吉くんも恥ずかしそうだ。 僕はその隣に乗り込む。一瞬獄寺に睨まれたが知ったことじゃない。 目の前には犬と千種に挟まれたクローム。 偶に振り返っては楽しそうに綱吉くんと笑い合っている。 「海賊が出るの?」 「そうだよ、人形だけどね。」 「そろそろ落ちっから前見てろよ。」 「うん。」 船が滑り出す。 前の三人がそわそわしているのが見てとれた。 気持ちは分かる。僕も少し楽しみだ。 「た・の・し・かった〜!!」 「おかみに追われる海賊は良かったですね。」 「千種さんたちはどうだった?」 「…ジョニーが出た。」 「「へ。」」 獄寺と綱吉くんが首を傾げる。 …ジョニー…ジョニーってなんだ。犬とクロームを見るが二人も首を振っていた。 「…間違えた。ジャッ○・スパ○ウだった。」 「ジしか合ってねぇぞ。」 「千種は多分役名と俳優名間違えたの。」 ああ。なるほど。 俳優はジョ○ー・デップでしたね、そういえば。 「癖のある演技が最高だ。」 「ち、千種?」 「…柿ピー映画好きらんれす…」 「シザーハンズもジョニーのチョコレート工場も」 「「「「「違うっつの」」」」」 「チャーリー」でしょう…いい加減ジョニーから離れなさい… 「おっし!次はスプ○ッシュマウン○ンだ。」 「え。」 ギクリと綱吉くんの肩が揺れた。 あ〜…絶叫マシーン全般苦手なんでしたっけ。 「ご、獄寺くん…ちょっとそれは遠慮した」 「それ、なんら!?落ちるヤツ?」 「テレビで見た…」 「ジェットコースター?乗りたいっ。」 「…………」 キラキラした目で地図を覗き込む三人に綱吉くんは無言で背を向ける。 僕はぽんぽんとその背を叩いてやった。 120分待ち。やはり人気のアトラクションともなると待ち時間もそれなりですね。 「長〜…」 「一本映画が見れる。」 「ならやめますか、お前たち。」 「「「並びます」」」 「だそうですよ、綱吉くん。」 「も、いいです…」 しゃがみ込んでのの字を書き始めてますよ、この子。仕方ないですねぇ… 「一緒に乗ってあげますから。幻覚で衝撃も和らげられますし。」 「…ホント?」 「はい。」 よしよしと頭を撫でてやる。するとぽそりと「ならいい」と呟いた。 ちょっと逃げ腰の綱吉くんを引きずって列に並ぶ。楽しそうな悲鳴がここまで聞こえてくる。 「水に落ちんの?あれ一回らけ?」 「いや。確か…2、3回は落ちる筈だぜ。あれより低いけどな。」 「一番前は嫌だ…」 確かに。濡れ鼠になりそうだ。 120分は長い…気は紛れたものの足にかかる疲労は誤魔化せない。 「なんかワクワクしてきた!」 「俺はドキドキしてきた…」 「ボス大丈夫?」 「あんまり…」 「………ごくれら?」 犬の訝しげな声にそちらを向くと何故か顔面蒼白の獄寺隼人。 「どした?」 「いや…」 「……………まさか絶叫ダメとか。」 「え。」 乗りたいと言い出したのは彼の筈…しかし獄寺は無言で頷いた。 「克服出来るかと…」 「獄寺く〜ん…」 「仕方ない。クローム、お前彼の隣で衝撃和らげてあげなさい。」 「はい、骸様。」 いよいよ僕らに順番が回ってきた。 一番前に千種と犬、次が僕と綱吉くん、三列目がクロームと獄寺だ。 千種は濡れるのを嫌がっていたが諦めてもらおう。怖がり二人を先頭には出来ない。 いよいよコースターが動き出す。ふるふると綱吉くんの震えが強くなった。 「大丈夫ですって。」 「怖い〜…」 まだ落ちてないのにすんすんと泣きそうだ。 ポメラニアンがいる、ポメラニアンが。ぐりぐりしたい。 「骸様震えてる…」 「あれは怖がってんじゃねぇよ。てめぇ、余裕だな…」 「クフ。」 「…骸様。こうなると分かっていて一番前にしましたね…」 「なんのことやら。」 最後の滝壺落下が終わり、コースターはゆっくりと降り場へと向かっている。 水しぶきをまともに浴びた犬と千種はぐっしょりと濡れているが二人を盾に、おっと違った偶々自身より背の高い二人の後ろにいた僕と綱吉くんは差ほど濡れずに済んだ。 後ろを見るとこちらも大した被害は受けていなさそうだった。 獄寺は濡れた髪をうざったげにかきあげクロームはパタパタと化粧を直している。 この子もなかなかにマイペースですよね… 「さて、次は何に?」 「ホーン○ッドマ○ション。でもその前に腹減らねえか?」 「そうだな…」 「ちょっと疲れたし、一度昼休憩行かない?」 「では一度出ますよ。」 「「「は〜い」」」 ここで一区切り。 続きはまた後で。 |