・寄り道しようか …ちょっと寄り道しようかな。 門の前で少し悩んでから右に曲がる。 本屋覗いてゲーセンでちょっと遊んで。まあそんなに遅くはならないよ、きっと。 …こんなの雲雀さんに知れたら怒られるだろうけど。つか咬み殺される… 幸い今日は雲雀さん、見回りの日じゃないし。その心配もないだろう。 「っと。」 ズボンのポケットが振動してる。携帯に何か来た…? 開いてみると着信マークが。相手は山本だ。何だろ? 「……………………」 かけ直そうかと思ったけど電池残量が…充電サボるんじゃなかった。 近くに公衆電話…は無い。仕方ないな、帰ってからかけてみよう。 携帯を閉じて顔をあげる。すると遠くから知った顔が歩いてくる。 「千種さん…?」 まだ距離あるけど間違いない。あの帽子と背の高さは千種さんだ。一目で確信出来るほど彼は周りから浮いてるし。 手を振ろうとして思いとどまる。あっちはこっちに気付いてないからなぁ…それにまだ距離あるし… 千種さんは車道を挟んだ向こう側にいるし俺の周り、人たくさんいるし。 …ちょっと恥ずかしいよなぁ… 俺は信号が変わって千種さんがこっちに来るのを待つことにした。 一人で行動って結構寂しいし。一緒に遊んでもらおう。 「?」 信号が赤から青に変わった。 歩き出した雑踏の中で俺は彼の歩き方に違和感を覚えて首を傾げた。
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