・千種の奮闘 ――数時間前。 「………………」 何が起こったのか。 目をぱちくりさせて頭上を見上げる。 「ヒバリ、ヒバリ」と激しく連呼しながら飛び回る小鳥。 木の枝から吊り下がる網。僕はその中にひっくり返ったような状態で閉じ込められている。 ……もしかして僕は今、古典的な罠にひっかかってる…? 「かかったびょん!」 「君…」 声のした方を見下ろせば六道骸の群れの三匹が立っていた。 …あいつの指示か?見つけ次第咬み殺してやる… 僕がそう思いながら奴らを睨みつけていると眼鏡の男が進み出る。 「お前が何考えてるのかは分かってる…けどこの件、骸様は関係無い。俺たちが独自で動いている…」 「何が目的だい?ま、どんな理由にしろここから出たら君たちは咬み殺すけどね。」 ニヤ、と笑うと金髪が怯えた顔で後ずさる。 しかし後の二人はどこ吹く風で変わらぬ表情でこちらを見上げている。 「いいけど、多分無理。」 「?」 「ボスの為だから。」 「…沢田綱吉のことかい?」 また彼絡みか…まあそれなら聞いてやらないことも無い。 僕は殺気を収めると黙って話を聞く態勢になる。 「今日は沢田の誕生日だ。」 「!」 知らなかった。そうだったのか。 いつもいじめ、いや遊んでいるのに。 しかしそれと僕のこの楽しい状況、どんな関係があるのか。 「ボスのプレゼント、何がいいか悩んだんだけど…思いつかなくて。」 「人の誕生日の祝い方なんて俺たちには分かんねーし。」 「だけど折角の「友人」の誕生日だ…ここは何かインパクトのあることをと思ってな。」 柿本千種がズボンのポケットに手を入れて何かを取り出した。 「雲雀恭弥…お前に恨みは……………無いことは無いが」 取り出した物を両手でビィン、と張り伸ばす。 「誕プレになってもらう。」 無表情で眼鏡の男が言い放つ。 彼が張り伸ばしたのは…真っ赤なリボンだった。
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